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女性に多い変形性膝関節症【MGプレス連載- 動いて健やかに65】

下肢

患者さんから「いつも右(ひざ)だけが痛くなるけど、なんで?」と質問されました。原因がないのに片方の膝だけ痛いという人がけっこういます。手ならば多く使う利き手(ききて)の方が腱鞘炎になりやすかったりします。足にも利き足があり、ボールを蹴ったりジャンプの時の踏み切り足は、左右どちらかに決まっていることが多いのですが、手ほどは左右差がありません。歩き方は人によって(くせ)がありますが、基本的には両膝にほぼ同じ負担がかかります。なのに、なんで片方だけが痛くなるのでしょうか。

60才以上の半数がかかっている変形性(ひざ)関節症は、加齢と関係のある国民病です。中年以後に膝が痛み出し、X線検査をすると関節のすり減りや変形があります。変形性膝関節症は女性に多く、体重が重い人や、けがをして膝を痛めたことがある人がなりやすい。しかし、いちがいに運動のし過ぎや使いすぎだけが原因とは決めつけられません。全然運動をしないのにすり減る人がいれば、若いころから膝を酷使してもすり減らない人だっています。

60代の女性の患者さんが左膝の痛みで受診しました。診察してみると、反対側の右の股関節の動きが悪くなっていました。患者さんは「股関節は気にならない。今痛いのは左の膝」とのこと。X線を撮ると左膝もすり減っていましたが、右の股関節の隙間(すきま)も狭くなっていました。この患者さんは、右の股関節を無意識に長年かばっているうちに、反対の左膝に負担がかかり徐々にすり減ってきたのです。背骨や骨盤が変形したり傾いていたりすると、片方の膝に負担がかかります。外反母趾(がいはんぼし)扁平(へんぺい)(そく)のような足首から先の変形でも膝の負担が多くなることがあります。ひとの体は機械ではありません。故障した部品だけみていてもわからないことがあるのです。目に見えない全身のつながりに注目することが大切です。

MGプレス 動いて健やかに65
2025年2月18日掲載

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