「関節がポキポキ鳴るけど大丈夫?」と患者さんから質問されることがあります。膝や指が鳴る人は多く、ほかには肩や股関節、腰、首などが鳴ることがあります。ストレッチをして関節が鳴るとすっきりして気持ちいい、という人も。関節が鳴るというのは、どういうことなのでしょうか。
どんなに小さな関節にも関節液という粘り気のある液体がごく少量あります。関節液はいわば関節の潤滑油。関節を動かす時に、この関節液からミクロの泡(あわ)が生まれることがあり、それが弾けると音がするのです。関節を鳴らし過ぎると関節がずれるのではないかと心配する人がいますが、基本的にはそういうことはありません。
関節を鳴らすと軟骨を傷めるからあまりやらないようにという人がいますが、逆に関節の動きがよくなると主張する人もいます。神経質になる必要はなく、無理な力を加えずに自然に鳴るだけで痛みがなければ心配いりません。ただし痛みを伴うような不自然な力を関節に加えたり、人にやってもらって痛みがでるようなのはお勧めできません。特に首や腰には大切な神経が近くにあり、重大なけがにつながることがあります。
関節によって鳴る原因はさまざま。膝の関節には、レントゲンに写らない半月板というクッションがあり、これが傷むと膝の曲げ伸ばしの時に音が鳴ったり、ひっかかったりします。また膝には関節を包んでいる関節包(かんせつほう)という袋があり、この関節包がお皿の裏側にまくれこむと曲げ伸ばしの時に痛みがあり音が鳴ります。股関節には関節唇という軟骨が関節を取り巻いていて、関節が外れないようにしています。この関節唇がきずつくと股関節を動かす時に痛みを伴って音がします。
関節が鳴るだけなら心配はいらないのですが、鳴る時に痛みがある時は、それぞれの関節に特有の原因があるので遠慮せず整形外科を受診してみてください。