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ずく出して小まめに動く【MGプレス連載- 動いて健やかに27】

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「ずく」という信州の方言があります。標準語で言い換えるのは難しいのですが、あえていえば「やる気」のような意味。「さあ、ずく出して、さっさと仕事片づけるじゃねえかい」とか、「座り込んだままで何やってるだ。このずくなし。」のように使います。

終戦直後、旧制松本高校で青春を謳歌した北杜夫は、『「ずく」という信州弁は「まめ」くらいの意味で、うんと働いたりすると、「あいつはずくがある」というふうに使う。これにドイツ語のガンツ(まったく、徹底的に)がくっついて、ゴンズクなどという不可解な用語が生まれたし、ズクマンともいった。』と、「どくとるマンボウ青春記」(中公文庫)に書いています。北杜夫の大ファンの私は松本生まれの松本育ち。だから松本が舞台の「青春記」を、若いころ本が擦り切れるほど繰り返し読みました。私のクリニックが、旧制松本高校の思誠寮跡地のあるあがたの森から歩いて5分のところにあるのもきっと何かの縁だと感じています。

 健康のためにからだを動かす生活をしましょう、というのがこのコラムで発信しているメッセージですが、「からだを動かす」という簡単なことが、実はとても難しい。一度座ってから、用事に立たなければいけない時を思い出してください。「ああ、面倒!」と立つずくが出ないことがあります。ここは発想の転換が大事。二度することを一度で済ますのではなく、一度でできることを二度に分けてする、というくらいの気持ちが大切。「まとめてやらない」「ついでにやらない」「何回かに分けてやる」「二度も立ち上がれてありがたい」と思えばずくも出てきます。  なにも難しい運動やエクササイズを探さなくても、こまめにからだを動かすことを生活の基本にするだけで人の活動量は格段に増します。膝や腰の病気をはじめほとんどの病気の患者さんに、適度な運動は最良の薬になることが医学的も証明されています。

MGプレス 動いて健やかに27
2023年3月28日掲載

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