股関節は骨盤と足をつなぐ人体最大の球関節です。大腿骨にあるボールのような骨頭(こっとう)が、骨盤のお椀形をした臼蓋(きゅうがい)にはまりこんでいます。骨頭と臼蓋の軟骨がすり減ってくるのが変形性股関節症。どんどんすり減ってくると、丸い骨頭がやがてひらべったく変形してしまいます。変形性関節症で一番多いのは膝、そして2番目に多いのが股関節なのです。
変形性股関節症になると、最初は長く歩いた後に痛みを感じる程度ですが、病気が進行すると次第に一歩一歩痛くなり、ついには夜寝ていても痛みが出るようになります。すり減った分、足の長さが短くなって骨盤が傾き、腰痛を引き起こすこともあります。
股関節にはこれ以外にもいろいろな病気があります。そのひとつがインピンジメント症候群。インピンジは「ぶつかる」という意味です。骨盤と大腿骨の骨のでっぱりがぶつかって、痛んだり動きが制限されます。
骨頭が抜けないようにお椀の周囲を覆っているパッキンのような軟骨を関節唇(かんせつしん)といいますが、これが裂けてしまうのが股関節唇損傷。これらはレントゲンでは診断できないためCTやMRIなどの検査が必要です。
病気によって治療法が大きく変わりますので、股関節の痛みがあれば、まずは整形外科専門医を受診してください。股関節だと思っていたら、腰が原因の座骨神経痛だったということもあります。
注射や手術などの治療がありますが、いずれの病気にも共通して言えるのは、股関節の筋肉をきたえるのが重要だということ。横向きになって寝て、上になった方の足を天井に向かって挙げていく外転筋訓練は、股関節の筋肉強化になります。ただし痛みの強い時は無理をしてやらないように。すべての運動療法についていえることですが、「痛いのに無理をして動かすこと」は決して良くありません。痛みの軽い時に関節の筋肉をきたえるトレーニングすることは、関節疾患の一番のリハビリです。
MGプレス 動いて健やかに15
2022年4月26日掲載