人間が二足歩行になった時、自由に使えるようになった前足は手に進化しました。だから手は最も人間らしいもの。手には神経が集中しており第2の脳といわれ、手を動かしたり感じたりするためには脳の3割が使われています。では「手」とはどこを指すのでしょうか。医学的には肩から先を上肢といいますが、その中でも肘から指までを手といいます。
整形外科は体全体を診る科ですが、その中にも専門があり腰や首を診る脊椎外科、膝や股関節を扱う「関節外科」、そして手を診るのは「て手げか外科」といい、それぞれ整形外科の重要な分野です。手には、動かす、感じる、という実用的な役割以外にも、顔の表情と同じくらい気持ちや感情を表現することができます。有名な手外科の教科書の表紙は、法隆寺の壁画の仏さまの手の写真です。
手は親指と人差し指で小さなものをつまんだり、箸を持ったり、楽器を弾いたり、というようなとても繊細な働きがあります。また現代人にとってはパソコンのキーボード操作や、スマホをいじるのも欠かせない手の働きです。だから手指が痛くなったり、しびれたり動きが悪くなることは、歩けないのと同じくらい困ります。手にはバネ指、手根管症候群、リウマチなど多くの病気があり、手外科の守備範囲はとても広いのです。
手の健康を維持するには手をしっかり動かすことが大切。では簡単な手指の体操を紹介します。やり方は簡単、自分の右手と左手でじゃんけんをするのです。この時右手はグーチョキパーの順に出し、左手は必ず右手に勝つように出します。つまり右がグーの時は左がパー、次の右手チョキの時は左手がグーです。これ、意外に難しく、最初ちょっと考えてやらないとできません。リズムよくできるようになれば手も脳も活性化します。手は第2の脳、指をこまめに動かしていると認知症の予防にもなりますので試してみてください。
MGプレス 動いて健やかに50
2024年5月21日掲載