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痛みに応じて体動かす(MGプレス 動いて健やかに9)

腰と坐骨神経痛

腰痛は痛みの期間が1か月以内の急性腰痛、1~3か月までの亜急性腰痛、そして3か月以上の慢性腰痛に分けられます。そしてそれぞれで治療法が異なります。ごくおおざっぱにいうと、急性期ではあまり無理せず、慢性期では積極的にからだを動かすこと。しかし急性期でも安静にしてばかりいるのはよくありません。痛みに応じてからだを動かすことは安静よりも痛みを早く改善させます。

ギックリ腰を何回も繰り返してしまう人がいます。そうしているうちに鈍痛が慢性的になることがあります。慢性腰痛の原因は、加齢による腰椎や椎間板の障害、周囲の筋肉の萎縮などさまざまです。慢性腰痛で問題なのは痛みだけではなく、不安や気分の落ち込みが患者さんを苦しめることです。痛みがあればからだを動かさなくなります。じっとしていると気分も滅入ってきて、すると痛みはさらに強くなってしまう悪循環に陥ってしまうのです。つまりメンタルの状態が大きく関係するということ。ですから慢性腰痛の治療は一筋縄ではいきません。前回お話しした急性腰痛にはよく効く消炎鎮痛薬も、慢性腰痛には効果がないことが多いのです。慢性腰痛には筋肉の緊張を緩める薬や弱い麻薬のような働きをする薬、不安をとる薬やうつの状態を改善する薬が効くことがあります。

しかし何よりも大事なのはからだを動かすことで、慢性腰痛に対する運動療法はきわめて効果が高いのです。ここで重要なのは「運動の種類によって効果の差はない」ということ。ネットや雑誌などでは実に多くの腰痛体操が紹介されていますが、残念ながら「これで100%治る」という決定的なものはありません。裏を返せばどんな運動でもいいので「どれにしようか」と迷う必要はないのです。お勧めできるもっとも基本的な運動のいくつかは拙著「腰痛は歩いて治す」(講談社現代新書)で紹介しています。考える前に動かす、治ってから動くのではなく動かして治していきましょう。

MGプレス 動いて健やかに9
2021年11月9日掲載

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