肩こりの患者さんからよくされる質問に「まくらの高さが合わないけれど、どういうまくらがいいの?」というのがあります。
仰向け(あおむけ)で寝ている時は、まくらが高すぎると頚椎の前弯がなくなって真っすぐな形、つまりストレートネックになってしまいます。逆に低いまくらではあごを引くとストレートネックになり、あごをそらせば前弯が強くなりすぎます。自然な首の形をキープするためには、首の部分がやや高く後頭部が少し低いまくらがおすすめ。
さてそれでは横向きで寝る時はどうか。右を下にした横向きで寝る場合、まくらが高すぎると首は左に傾きます。左下はこの逆。だから横向きに寝た時には、背骨から頭のてっぺんまでがまっすぐになるまくらがよい高さです。
では、仰向けか横向きかうつ伏せか、どの向きで寝るのがいいのかというと、これについてはさほど心配する必要はありません。なぜなら寝ている間、ずっと同じ格好のままでいる人はいないからです。人間は寝ている間もたえず動いています。呼吸をして、そして必ず寝返りをします。寝つけないでいる時にどんな姿勢がいいか悩んだあげく変な恰好になっている人でも、寝入ってしまうと自然に無理のない体勢になります。睡眠中の無意識の時の方が、本能に従って賢くなるのです。
寝るときにどんな姿勢がよいか、どんなまくらがよいかということを必要以上に考えすぎると、かえってからだが緊張してしまいます。そうすれば寝入りも悪くなり、よい睡眠がとれません。布団に入ったら、今日一日忙しかった人は、そのあわただしさから解放されることが一番。楽しかったことを思い出して嫌なことは忘れてしまいましょう。リラックスした気分になれば首も肩も緊張がほぐれます。今夜は安心してゆっくりお休みください。
MGプレス 動いて健やかに36
2023年9月5日掲載