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ロコモティブ症候群【MGプレス連載- 動いて健やかに17】

整形外科一般

骨や筋肉など、からだを動かすのに必要な器官を運動器といいます。だから関節や神経、背骨(脊椎)も運動器。関節痛や神経痛のような運動器の痛みがあると、体を動かすことが難しくなり、体を動かさなくなると筋肉や骨が弱くなります。それが進むと介護が必要な状態になってしまい、この状態を運動器症候群(ロコモティブ症候群)といいます。

高血圧や高血糖、高脂血症になる内臓脂肪症候群(メタボリック症候群)は別名メタボと呼ばれ、こちらの方はとても有名。これに対して運動器症候群は「ロコモ」と略され、テレビなどのメディアでもよくとりあげられるようになりました。ロコモーションは「動力源」という意味。機関車のことをロコモーションといいます。その動力源が故障するのがロコモ。

ロコモは脳卒中や認知症と並んで、寝たきりになる原因のひとつです。介護が必要になる前の状態を要支援といいます。厚労省のホームページを見ると、要支援の原因は、高齢による衰弱、関節疾患、骨折・転倒で半数を占めています。これらはすべてロコモ。ロコモには変形性膝関節症や脊柱管狭窄症、骨粗鬆症やリウマチ、圧迫骨折をはじめとするさまざまな骨折などが入ります。これらによって体を動かせなくなると廃用症侯群という深刻な状態になります。「廃用」なんてびっくりな命名ですが、要は「使わないので衰えていく」という意味です。

自分のことが自分でできる期間を健康寿命といいます。人生100年時代といわれていますが、いくら寿命が100年でも介護が必要だったり寝たきりの期間が長くなるのでは、本人もまわりの人も大変です。日本の女性の寿命は87才ですが、健康寿命は75才。つまりその差の12年が介護が必要な期間です。できるだけ健康寿命を延ばすのが今の医学に課せられた使命。ただ医学だけではこの目的は達成されません。からだを動かし、運動を生活に取り入れていくことが何より大切です。

MGプレス 動いて健やかに17
2022年6月21日掲載

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