運動は健康に大切なのですが、体を動かすのは面倒という読者もいると思います。運動なんて気張らないでも、普段の生活の中でほんの少し意識を変えれば運動量は飛躍的に多くなります。
信州には、まめに動くという意味の「ずくを出す」という方言があります。面倒くさがらないで、ずくを出す。心がけはこれだけ。寒い冬、こたつに入ってだるまさんのように動かないでテレビを何時間も見ているひとは、コマーシャルの時にこたつから出て一回伸びをしてください。これだけで健康を維持する力は何倍にもなります。
発想の転換です。面倒くさいことを歓迎してありがたがりましょう。正月明けのある日、あなたはどっこいしょと座った瞬間、玄関の正月飾りの片付けを思い出しました。「もう座っちゃったから、また立った時にやろう」と考えてはいけません。「これも健康の素、ありがたや」と考えるのが正解。正月飾りを外すには2階にあるペンチが必要なので、あなたはさらに喜びましょう。「階段を往復できる、ありがたや」と。2階のペンチを取りに行って、玄関の正月飾りをはずしたら、すぐにこたつに戻らずペンチはもとあった2階に戻します。「2回も階段を往復できてありがたや」と思いながら。そして取り外した飾りは三九郎で焼いてもらうまで置いておくために勝手口に持っていきます。これだけであなたはずいぶん体を動かしました。今すぐやる、人に頼まず自分でやる、一度でできることを2回に分ける、という意識です。
座ったとたん、テレビのリモコンが部屋のすみにあるのを見つけても決して「ちょっとそのリモコンとって」とは言わないで。「あれとって」「それ持ってきて」はおうちの内では「言ってはいけない言葉」にしてください。ずくを出して健康な一年を送りましょう。
MGプレス 動いて健やかに43
2024年1月16日掲載