HOME > 病気を調べる > 下肢 > 運動が薬の効果に匹敵(MGプレス 動いて健やかに5)

整形外科の情報を発信 病気を調べる

運動が薬の効果に匹敵(MGプレス 動いて健やかに5)

下肢

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすりへり変形してくる病気です。病気といっても加齢と関係しますので、女性では高齢者の8割以上にみられます。だからたとえ医者から膝関節症と診断されても悲観する必要は全くありません。

膝関節症の治療には薬、注射、手術などがありますが、最も基本的で重要な治療は運動療法です。膝が痛いと太ももにある大腿四頭筋がやせてきて、関節が不安定になり痛みが強くなります。ですからその筋肉をきたえるのです。運動療法は薬や注射の効果に匹敵するとまでいわれています。

では具体的な運動のやり方です。まず椅子に座ってから両膝を片方ずつ交互に伸ばします。力を入れてしっかり伸ばし、四頭筋が硬くなるのを手でさわって確認してください。左右の膝を伸ばして1回、これを30回繰り返します。次はスクワットです。正しい姿勢で立ちゆっくり膝を曲げていきます。背筋を伸ばしたまま腰をおとし、ふたたび立ち上がります。高齢の方は転ばないように手すりにつかまってください。これも30回繰り返しましょう。

歩くと膝に体重がかかり軟骨がすり減るので「あまり歩いてはいけないのでは」と考えるのが当然。私が医者になった30年以上前は、膝関節症の患者さんに整形外科医は「歩くとすり減るから、もうあまり歩かないように」と指導していました。もちろん過激な膝への負担は膝関節症の原因になります。しかし膝関節症でも調子のよいときには運動することはとてもよいこと。適度なウォーキングやプールでのバタ足、自転車(エアロバイク)は膝関節症の人にこそ、ぜひしてもらいたい運動です。もちろん膝の痛みが強いときに無理にしないように。しかし軟骨がすり減るのを過度に恐れて運動しなくなると、筋肉ばかりでなく骨もおとろえていきます。骨粗しょう症になると膝の骨ももろくなり、それが関節症の原因のひとつになることが最近の研究でわかってきました。動かして治す、これは膝でも重要なことなのです。

MGプレス 動いて健やかに5
2021年7月20日掲載

→ MGプレス連載情報はこちら


一覧へ戻る