腰痛が起きやすい時間は一日のうちいつごろなのでしょうか。昼間動いている時、夕方疲れてくると、あるいは一日中痛い、など人によってさまざまです。中でも多いのが朝。朝、目覚めて布団から起き上がる時の腰のきしむような痛みに悩まされている人がたくさんいます。
人間の体は寝ている間、起きている時のようには動いていません。誰でもときどき寝返りくらいはしますが、それほど大きな動きではありません。人間の体は、動かないとこわばって固くなってきます。整形外科医になりたてのころ、自分の膝でギプスを巻く練習をしました。ギプスで数十分固定しただけで、健康な膝でも動かし初めに軽い痛みを感じます。ヒトの体は、動かさないと痛くなるようにできているのです。寝たきりの方を介助する時に、からだを少し動かすだけで痛がるのも同じ理由。
朝、起き抜けの顔ってむくみっぽいですよね。朝は顔だけでなく体全体がむくんでいます。もちろん腰の筋肉や椎間板も。このようなむくみは、からだを動かすと循環がよくなってきて改善されます。ですから朝の腰痛も、動いているうちに痛みがなくなれば心配いりません。
朝の腰痛の原因として運動不足や腰の加齢があります。心配な場合は迷わず医者を受診しましょう。まれに脊椎の腫瘍などの病気で、朝の腰痛が起こることがあります。毎日長期間腰痛が続く場合や、朝の腰痛が徐々に強くなっている場合、夜、寝ている間も腰痛で目が覚めてしまうような場合は、必ず医者を受診してください。
朝、目覚めたら、布団の中で寝たままでいいのでバンザイをして伸びをしてみてください。次にうつ伏せになって両手を布団につきます。顔を上げながら肘を伸ばしていき上半身をゆっくりそらしてみましょう。次に仰向けになって足を延ばして座り、両手がつま先につくように腰を曲げていきます。朝のゆったりしたストレッチは腰痛にとても効果があります。ぜひお試しください。
MGプレス 動いて健やかに23
2022年12月8日掲載