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五十肩 焦らずゆっくり(MGプレス 動いて健やかに7)

くびと肩

肩の関節が痛み、動きが悪くなる五十肩。昔は寿命が今よりも短く五十才といえば高齢だったので、五十肩は「長命病」と呼ばれていました。

五十肩は医学的には肩関節周囲炎といいます。髪を結うために後頭部に手をもっていく動作を結髪動作、帯を結ぶために腰に手をあてる動作を結帯動作といいます。五十肩では結髪動作や結帯動作ができなくなります。無理にやろうとするとするどい痛みを感じます。夜、寝返りをしただけで痛みが強くなってしまうこともあります。五十肩は急に発症することもあれば、ゆっくり進行して気がついたらバンザイができなくなっていた、ということもあります。肩の動きが強く制限されることを肩関節拘縮といいますが、あたかも肩が凍っているようなので凍結肩とも呼ばれ、治るまでに数か月以上かかることがあります。

五十肩の治療でもっとも重要なのは運動療法。痛いところにはどうしても手がいってしまうものですが、ただゴリゴリと力任せに強い力でもむのはお勧めできません。痛みと相談しながらゆっくり肩の関節を動かしていくことが大切です。立ったまま肩と同じ高さのものにつかまり、腰を下げていく運動は自然とバンザイのかっこうになり効果的。また結帯動作を繰り返しすることも肩関節拘縮の予防になります。

温熱療法などの物理療法は五十肩の重要な治療のひとつ。消炎鎮痛薬も効果的です。「痛み止めは痛みを止めるだけでしょ」と決めつけて鎮痛薬をいやがる患者さんがいますが、鎮痛薬には消炎作用といって「炎症をおさえる」という重要な作用があります。

さらにステロイドやヒアルロン酸を肩関節に注射する治療もあります。ステロイドは関節の炎症をおさえる作用があり、またヒアルロン酸は関節の潤滑剤で軟骨を保護します。治療には時間はかかることもありますが、すべての整形外科の病気がそうであるように「決めつけない、あせらない、あきらめない」で動かしていくことが大切です。

(MGプレス 動いて健やかに7 2021年9月21日掲載)

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