腰椎すべり症とは
腰痛の原因として「腰椎すべり症」があります。
名前の通り、ブロックのようにつみ重なっている腰椎という腰の骨がずれてきて、レントゲンを撮るとすべっているのがみえます。
すべり症の症状
すべり症のもっとも多い症状は腰痛です。腰をのばしたりまげたりするときに腰痛があります。歩くときに痛みが強くなることもあります。
腰からは坐骨神経がでています。すべっているところで坐骨神経があたるとお尻から足にしびれや痛みが出ることもあります。
すべり症によって「腰部脊柱管狭窄症(当院HP内の「病気の説明」へ)」がおこることがあります。
すべり症の種類
すべり症の種類は大きく2つのものがあります。
- もともと「腰椎分離症(当院HP内の「病気の説明」へ)」があって、分離したところからすべっていってしまう「分離すべり症」です。
- 分離症がないのに、徐々にすべってしまう「無分離すべり症」です。これは「変性すべり症」ともいわれます。
50歳以降の中年以降に発症するすべり症は、腰椎が徐々に年齢的な変形を起こす「変性すべり症」が多いのが特徴です。
すべり症になったらあまり動かない方がいいの?
「すべり症」などといわれると、何かこわい名前の病気のように感じてしまいますが、決して心配することはありません。
「動くと、もっとすべってしまう」と思い込んで運動をしなくなってしまったり、腰を動かすことをこわがってしまう患者さんがいます。
しかし運動をすることによってすべりがひどくなるということはありません。それどころか、背筋や腹筋をきたえることによって腰椎の固定力はよくなり、すべりを防止する効果さえあるのです。
逆に安静にしてばかりいて腰の筋力をきたえないでいると、腰まわりの筋肉がやせてきて腰が不安定になります。するとますます腰痛が強くなってしまうのです。
つまり、すべり症であっても、しっかりした診断と指導のもとに、腰のストレッチや筋トレを行っていけば腰痛を改善できます。
すべり症に効果的な治療法
腰痛に対してはお薬やブロック治療が効果的なことがあります。お薬の中には消炎鎮痛薬のほかに筋肉の緊張をとる薬、足の血流をよくする薬、慢性の痛みを取る薬など、20種類以上の薬が開発されています。
また、もっとも効果的な治療法は運動療法です。
くりかえしになりますが、コアマッスルと呼ばれる背筋や腹筋などの体幹筋をきたえることによって腰椎の固定力はよくなります。するとそれ以上のすべりを防止する効果さえあるのです。
逆に安静にしてばかりいると腰まわりの筋肉がやせてきて腰が不安定になります。するとますます腰痛が強くなってしまうのです。このような「動かしてはいけない」というまちがった思い込みを、治療していく方法があり認知行動療法といって、最近では腰痛治療の主流になってきています。
つまり、すべり症であっても、しっかりした診断と指導のもとに、腰のストレッチや筋トレを行っていけば腰痛は改善できます。
具体的な腰痛体操については「腰痛は歩いて治す からだを動かしたくなる整形外科」(講談社現代新書)にあります。
すべっているからといって腰痛が一生続くということはありません。適切な治療で腰痛はかなりよくなります。