スポーツによるひじの故障
スポーツで上肢を酷使すると肩やひじが痛くなることがあります。
特にひじの痛みは投球動作がある野球、ラケットで球を打つテニスなどでよくおこります。
野球で起こるひじ痛は「野球肘」とよばれ、注意が必要です。
起こりやすい年齢と症状
野球肘は小学校の高学年から中学の時期に起こることが多く、リトルリーグエルボーなどと呼ばれます。
最初はひじの内側の痛みから始まります。投球の時に痛みが走り、それを続けているとひじの曲げ伸ばしに制限が出てきます。
内側が痛む時はしばらくの期間の投球の中止が必要になる場合がありますが、適切な休養と筋トレやストレッチで次第に回復することがほとんどです。
しかし痛みがあるのに無理に続けていると、次第にひじの外側が痛くなってきます。この症状が出てくると関節の軟骨に障害を起こしていることがあり、より長期の休養や、検査の結果によっては軟骨を修復する手術が必要になることさえあります。
簡単にいうと
- 「内側の痛み」=初期
- 「外側の痛み」=進行期
ということになります。
診 断
初期ではレントゲンを撮っても異常はありません。進行期(外側の痛み)になる肘関節の外側(腕橈関節)に異常像がみられます。
レントゲンのほかにエコー検査も重要です。レントゲンでは軟骨やじん帯はみることができませんが、エコーで軟骨やじん帯に異常がみつかる時もあります。
さらにくわしく調べるにはMRIやCTが必要になります。
治 療
初期では2~4週の期間の投球の制限を行うことによって比較的早期に症状は改善します。
痛いのに無理に投球を続けていると進行期となり、投球禁止の期間は数か月を要すこともあります。軟骨の決定的なダメージがあると手術が必要になることもあります。
予 防
一番大切なことは野球肘が発生しないように予防することです。
そのためには「投げすぎない」ことが重要です。
日本高校野球連盟などの各種団体では年齢に応じた投球数制限の目安を打ち出しています。
高校生では1人当たりの1週間の総投球数を500球以内とする投球数制限が提示され、現在検討中です。
また小学校では1日50球以内の投球、週3日、1日2時間を越えないこと、最大でも週200球をこえないことが推奨されています。
痛みがでてきたら無理をせずにすぐにスポーツドクターを受診してください。
日本整形外科学会や日本整形外科スポーツ医学会のホームページにも野球肘についての解説が載っています。