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関節リウマチ

リウマチ・痛風

原 因

関節リウマチは膠原病(こうげんびょう)という病気の一種です。略して単に「リウマチ」ともいいます。膠原病には、リウマチのほかにも強皮症や皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、シェグレン症候群などいろいろな病気があります。

関節リウマチは、関節や骨、筋肉など運動器「からだを動かす部分」が主に障害されます。なぜこのような病気になるのでしょうか。多くの医学者が研究しその原因は徐々に解明されてきました。しかし、まだはっきりした原因はわかっていません。リウマチになると自分に対する「抗体」が作られてしまい、これが自分のからだを攻撃してしまいます。本来、外敵から身を守る働きを「免疫」といいますが、この「免疫」が異常を起こし、自分のからだを攻撃してしまうため「自己免疫疾患」と呼ばれます。

症 状

初期は手の指の関節に腫れや痛みが出てきます。しかし関節痛がはっきりしないこともよくあります。

「なんとなく手がこわばる」
「指を曲げる時に関節に違和感や軽い痛みがある」
「手がむくんでいるような気がする」
「指の節が腫れぼったい」

などの症状があります。
またリウマチの最初の症状が必ず手の指から始まるわけではありません。膝や肩が痛くなることが最初の症状のこともあります。また足や手首の痛みや腫れから始まることもあります。
手の痛みや腫れではなく、しびれやほてりといったこともあります。そのため最初のうちは手根管症候群とかバネ指、頚椎症と診断されることもあります。

診 断

関節リウマチがどうか診断するには、きちんとした基準があります。
1987年に作られた診断基準は、次の7項目のうち4つあてはまるとリウマチと診断できるというものです。

1)朝の手のこわばり 2)3つ以上の関節炎 3)手の関節炎 4)左右対称の関節炎 5)リウマトイド結節(皮膚の下にごろっとした腫瘤ができる) 6)血液検査でリウマチ因子が陽性 7)レントゲンでリウマチの変化がみられる
この診断基準は、今は使われていませんが、関節リウマチの要点を的確に表しています。

2010年に登場した新基準は2010ACR/EULAR分類基準と呼ばれています。新しい分類基準では次の4点を点数化して満点10点のうち6点を越えたらリウマチと診断するというものです。

1)罹患している関節の数 2)血液検査(抗CCP抗体とRFという検査) 3)炎症反応(CRPか血沈という検査) 4)症状が6週間以上続いているかどうか、の4点を点数化して診断します。

詳しくは日本リウマチ学会のホームページに書かれています。

https://www.ryumachi-jp.com/info/120115_table3.pdf

手指の違和感があって心配であれば、ぜひリウマチ専門医を受診していただきリウマチの診察や検査を受けてみてください
リウマチ学会のホームページではリウマチ専門医を紹介しています。(http://pro.ryumachi-net.com/
私を含めリウマチ専門医は松本市では21名がいます。(2024年現在)

治療の目標

リウマチに限らず、すべての病気の治療には「治療目標」というものがあります。

たとえば「血圧が高い」ということで降圧薬を飲む。ここまではいいのです。しかしそれがまん然といつまでも続く、というのは現代医療のあり方ではありません。定期的に検査をしてそれに応じて薬や治療を見直し、そして改善がみられたら不要な薬はできるだけ早くやめる。これはどのような病気についてもいえることです。

関節リウマチの治療でも「どのような状態をめざすのか」ということがとても重要なことです。リウマチの場合は「治療推奨」という治療指針が学会で定められています。いくつかの項目がありますが、重要なことはリウマチと診断されたらできるだけ早く薬を使って病気の進行をとめること、そして治療を続けて病気が治るか、あるいは勢いが弱まるようにすることをめざします。

専門用語では「リウマチが寛解あるいは低疾患活動性に到達することを目標に治療する」といいます。

まん然と同じ薬を投与し効果のない薬をいたずらに継続することは意味がありません。

治療としての生活習慣

関節リウマチを治療するうえで薬はとても重要ですが、もっとも重要なのは生活習慣です。以下にいくつかの生活習慣で気をつける点をあげます。

  • 運動を生活に取り入れる。関節や筋肉が痛くても「ただじっと安静」はよくありません。痛みと相談しながらからだを動かしていくことが重要です。
  • バランスのよい食事をとる。リウマチにはどんな食べ物がよくて、どんな食べ物が悪い、ということはありません。なんでもバランスよく食べることが大切です。
  • ストレスをためない。リウマチによる痛みとメンタルの状態はとても関係があります。気持ちを楽にして、過度に病気のことやこれからのことを心配しすぎないように。ストレスによって免疫力が異常になることはよく知られています。
  • 薬のことなど、わからないことがあったら遠慮なく医師に相談すること。思い込みだけの間違った知識で治療していくのはとても危険です。

くすりによる治療

リウマチの治療の基本は薬です。膠原病は免疫が異常をきたして自分のからだを攻撃してしまう病気です。これを直すのには自分を攻めてしまう免疫を抑えればいいのです。そのための薬がたくさん開発されリウマチは確実に治る病気になりつつあります。

リウマチの薬はいろいろあり、ざっと見渡しただけで30種類を超えます。中でも大きな進歩を遂げているのが「生物学的製剤」といわれる薬です。生物学的製剤という難しい名前なので簡単に「バイオ」と呼ばれることもあります。この薬が出てから、リウマチは治る病気になりました。

以前までは、薬を使用しても手指の変形を遅らせる程度の効果しかなかったのですが、「バイオ」はリウマチの進行をピタッととめるだけでなく、手指の変形を少しずつもとどおり治していくことさえわかってきたのです。もちろん患者さんの個人差がありますが、「バイオ」はリウマチ診療に画期的な革命をもたらしました。「バイオ」を使うようになって劇的に治ってしまった患者さんもいます。
リウマチは、病気が治って症状がなくなることを「寛解(かんかい)」といいます。「寛解」した患者さんも再発がないように慎重に見守っていきます。

「バイオ」には、現在8種類の薬があり、また次々に新しい薬が開発され使えるようになっています。「バイオ」はよく効く薬ですが、きちんとしたリウマチの知識がないと使用できません。そこで日本リウマチ学会では専門医制度を作って認定しています。リウマチは症状があってもあわてずしっかり診断し、じっくり治療をしていくことできちんと治る病気になりました。


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